ネコソギラジカル(下)青色サヴァンと戯言遣い

 読みました。まず思ったのは、この話はこの終わり方がピタリとはまる、ということ。まあ、いーちゃんがちょっとさわやか過ぎたのが少々引っかかりましたが、全てが落ち着くところに落ち着いた感じでした。
 ですが、正直読んでいていままでで一番面白くない、という印象をうけたのも事実です。要するにこれは、上・中・下巻の一番最後だから、という非常に単純な理由だとは思うのですが、とにかく話が後ろへと引っ張られてゆく力が弱かったような気がするのです。
 良い比喩かどうかは分かりませんけど、いままでの戯言シリーズが迷宮のなかを迷いながらも進んでゆくのだとしたら、今回の本はトンネルをまっすぐ抜けてゆくような印象を受けました。
 また、いーちゃんが自身の問題を解決することに重点を置きすぎるあまり、他のキャラクターが全て置いてきぼりにされているような感があった所も気になりました。いーちゃんの台詞はいつにも増して確かな重みを持っているのに、それにつりあうだけの台詞が他のキャラクターからは出てきていないような。レベル自体はむしろ今までより高いところにある気はするのだけれど、いろいろとバランスが微妙かも。