01 〜お約束を生かす〜

 とかいうもののシリーズ化を試みて見る。大体、演出苦手な人はあんまり読んでくれないという根本的な問題点があったりするわけですが……
 さて、特に最近のTRPGでは、「演出」 というものに力を入れているものが増えてきています。もちろん、「演出」 だけがTRPGの要素ではありませんが、「演出」 を上手く行うことで、より一層TRPGの場を盛り上げることが出来るのは間違いないでしょう。しかし、初めのうちは、「演出」 を行うことは多少恥ずかしいものかもしれません。そこで、とりあえずはこの恥ずかしさを乗り越えるための手法の1つとして、「演出」 のパターン化、「お約束」 に関して書きたいと思います。
 小説、漫画、アニメ、といったジャンルの作品には、無数の「お約束」 が登場します。一度敗北した主人公が特訓の後に勝利する。生き別れになった2人は何度もすれ違う。最初から奥技を出すとその奥義は破られる。などというのが代表的なものでしょうか。とにかく、作品をいくつも読んでいくと、知らず知らずのうちに、「ああ、ここはきっとこういうシーンだな」 とかいう予測みたいなもの立てられるようになってくると思います。この、「ここはこういうシーン」 というのが、「お約束」 です。そして、TRPGの演出で、「お約束」 を使うということは、型どおりの動きをする、ということになります。
 型どおりでは面白くないのではないか、と思う人もいるかもしれません。ですが、「お約束」 を守ることができて、初めてそれを破ることができるのです。この人のキャラは、「お約束」 を守るから、ここでこう動くだろう。と、予測させておいて、自分がここだと思う1点で、その「お約束」 を破る。それによって、自分のキャラクターの個性をより際立たせる。これはかなり難易度は高いですが、効果的なテクニックでしょう。もちろん、ここまでしなくても、TRPGにおいてはどの道「お約束」 はサイコロの出目によって破られることになります。ですから、まずは「お約束」 をきっちりと守って、安心して見ていられるキャラクターを作り出すべきなのです。
 型にはまった行動、型にはまった台詞は、決してプレイヤーの頭が悪い証拠ではありません。むしろ、思い付きによる型破りな行動や発言の方が、状況によっては頭が悪く見える可能性があることを覚えていた方が良いでしょう。
 まあ、「お約束」 を守ると、一口に言ったところで、なかなか難しいこともあるでしょう。そういう時は、日ごろから何かを見たり読んだりしたときに、このシーンではこうすれば良いんだ、みたいなことをネタとしてストックしておくといいでしょう。このとき気をつけるべきなのは、ネタには広く使えるネタと、狭い範囲でしか使えないネタと、使うとギャグになってしまうネタがあるということです。これは、説明が難しいので、実際のシーンを例を挙げますと、例えば有能な女性キャラクターが雑魚敵を蹴散らすシーンで、
「その程度? まるで相手にならないわね」
 なら、相手が単体でも使えるのに対して、
「雑魚ね。数を揃えれば、私に勝てるとでも思ったの?」
 だと複数限定になって、
「見ろ、敵がまるでゴミのようだ!!」
 なら、ギャグになります。実際にはギャグになりました。有名な台詞を使用する場合は、ギャグっぽいシーンのみにしましょう。と言うか、上の例だと口調まで変わっています。一応言っておきますが、これやったの僕じゃないですよ?